今回のブックレビューは、
*** 『新生と解脱のために』 谷口清超(著) ***
*** 『叡知の海・宇宙――物質・生命・意識の統合理論をもとめて』 アーヴィン・ラズロ(著)・吉田三知世(訳)
***
です。内容を一部抜粋してご紹介します♪♪
新生と解脱のために
著者:谷口清超

実相と現象(p.121~123)

年月はアッという間に過ぎ去って行く。ようやく夏になったと思っていると、すぐ新しい年を迎える。この繰り返しは毎年のことで、「今年は正月がない、元旦もない」という話は聞いたことがない。ところが時間は、後もどりしないのである。過ぎ去った過去は、二度と返らない。この二つの現象を考える時、一見矛盾しているように思えるが、矛盾していないから、吾々は平気で生き続けているのであろう。
吾々はこの世に生れて来た。そしていつかは死ぬ。そして時間は後もどりしない。ところがこれだけであると、矛盾してくる。というのは誕生と死との「繰返し」がどこにも見られないからである。そこで誕生も死も繰返される――と考えるならば、前節でのべたように、毎年繰返される正月や春秋のように、全然同じではないが、同じような繰返し現象があり、生命は本当は「生き続ける」のだということになる。つまり人間のいのちは死なず、滅びず、輪廻転生するという「拡大された現象」が展開してくるのである。
人間の叡智はすばらしいものであり、目前の測定可能な現象だけをアルと思っていると有限の世界しか把握されないが、もし「見ゆ」という「罪」(包みかくし)から脱却するならば、不死不滅のいのちが自覚され、現象的には前生があり次生や後生がある、即ち“輪廻転生する”巨大な人生が展望されるのである。この説を賢明な古人は仏説として取り入れて、「死後は灰のみ残る」という貧弱な唯物論を斥けたのであった。〔注―イエス・キリストは「然れど見ゆと言う汝らの罪は遺れり」と言っておられる。(ヨハネ伝第九章四一節)〕
全て現象界は、実在するもの全てを含んではいないのである。現実に見える世界は三次元空間の物質のみであり、そこに時間という一次元を加えて、四次元の時空間が現実の人生舞台として認識される。その中の時間的次元をもっと延長させるだけでも、大きく心の視野が開けてくるのだ。心はコトバでもあるから、コトバをより一層拡大しても、様々な世界が吾々のものとなる。例えば外国語を学ぶことで、日本以外の様々な国のことをより確実に知るようになるだろう。又日本の古代語を深く知るだけでも、日本文化の奥深さを知り、心の視野が大きく開けてくるのである。
叡知の海・宇宙――物質・生命・意識の統合理論をもとめて
著者:アーヴィン・ラズロ
訳者:吉田三知世

第4章 宇宙の記憶を探る(p.55~56)

ここまで現代科学の謎を見てきたが、これによって本書の目的である、科学に基づいた万物の理論を求めての探求に乗り出す準備が整ったと言える。私たちは重要な洞察を得た。これまで知られていなかったが、疑いもなく現実であり、おそらく本質的であると思われるものや過程が次々と発見されているが、これらを説明するためには、現在の科学のパラダイムが認めるよりも世界ははるかに豊かなのだということを認識する必要があることがわかったのだ。
これらの発見のうち、代表的なものをもう一度見ておこう。
・宇宙は一つの総体として、常識では説明できないほど精巧に調整された
相互関係を示している。
・量子のレベルにおいて、驚くほど密接な相互関係が存在している。別の粒子
と同じ量子状態を占有したことがある粒子は、エネルギーを介在しない奇妙
な方法で、その粒子と関係をもちつづける。
・ポスト・ダーウィン進化論と量子生物学によって、生体の内部で、そして
生体とその環境のあいだで、量子と同じく不思議な相互関係が発見された。
・意識研究が進むにつれて明らかになってきた相互関係も同じく奇妙なもので
ある。その相互関係は、一人の人間の意識と、他の人間の心や身体のあいだ
の、「超個的な結びつき」として現れている。
これらの結びつきと相互関係にまつわる謎をよく検討すると、驚くべき結論に達する。一貫性をもって進化する宇宙、量子の相関性、生体と環境の瞬間的な結びつき、遠く離れた人間どうしの意識が瞬時に交信することなどを成りたたせている、それぞれの結びつきの網状組織はすべて、同じものによって説明できるのである。宇宙には、物質とエネルギーの他に、もう一つ、はるかに精妙だが、実在するものがある。それは、活動的で実際に効果を示す「イン・フォーメーション」(「はじめに」参照)としての情報である。この形のイン・フォーメーションは、時間と空間のなかですべてのものを結びつける。実際に、時空を通してすべてのものを結びつけるのである。ニコラ・テスラ、デイヴィッド・ボーム、最近ではハロルド・パソフなど、最も進歩的な科学者たちが、「自然の領域と精神の領域の両方における相互関係は、この宇宙の中心にある情報場によって媒介されている」のではないかと推測している。
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