今回のブックレビューは、
*** 『感謝の奇蹟』 谷口清超(著)  ***
*** 『増補新版 脳が若返る――脳内至福物質の秘密』
      高田明和(著)  ***

です。内容を一部抜粋してご紹介します♪♪


感謝の奇蹟

著者:谷口清超




なにくそ(p.107~108)

世の中では“精神力”というと、とかく「なにくそ」と頑張ることのように考える人が多いのですが、そんな頑張りも、あるていどの利き目はありますが、本当に“無限力”を出す力とはなり得ない。
 というのは、「病気」そのものが、永年の間の「心の力」によってつくり出されて来た結果であって、その「平素の、ひそかなる心の力」が、急ごしらえの「なにくそ」という頑張りによって、易々と崩れ去るようなものではないからです。例えば学生が試験勉強をしていると仮定してごらんなさい。一夜づけで、一心に勉強すれば、たしかにいくらか成績は上りますが、それだからといって平素なまけて少しも学習らしい事をしていない者は、イザというとき、いくら頑張ってみても、充分の力が出ないで失敗する。入学試験のときなどはことにそうであって、イザ試験場に入ってからいくら力んでみても、どうにもならないでしょう。そういうとき、私達は“平素の心の力”がどんなに大切であるかがつくづくと判るのであって、平素から充分努力して(これも心の力、精神力)しっかり学習をした人は、必ず成功するということになるのであります。
 だから私達が病気に打ち克つ場合でも、病気になってから急にナニクソと言うのでは不充分で、平素から「心の力」を活用して、平和な、感謝にみちた生活を送っているということが、何よりも大切です。
 つまりここでいう「心の力」とは、ナニクソという単純な“頑張り”ではなく、(それも心の力のごく一部ではありますが)、一切の心の中の(思い)がすべて「心の力」となって働くのであり、その「思い」がやがて色々な形となって、肉体や環境にあらわれて来るのだということであります。だから前にも申しましたように、平素の心がけが大切であり、ことに心の奥底にある“潜在意識”をきよめて、人とむやみに争ったり、相手を憎んだり、恨んだりしないようにしていることが肝腎です。




増補新版 脳が若返る
――脳内至福物質の秘密

著者:高田明和



 希望の脳科学(p.267~268)

「脳の細胞が毎日死んでいく」といわれていた時代には、未来は暗黒だと思えました。「細胞は、日に日に死んでいく。いくらがんばって健康管理の努力をしても、結局、無駄なのだ。私たちの脳は、次第に衰えていって、最後にはボケるのだ」という恐れから逃れることはできませんでした。しかし最近の研究はそうではないことを証明しています。たとえ七十歳を過ぎても、運動したり、いい刺激を受けることによって、脳の細胞をふやすことができるのです。年をとれば、一直線にボケに向かって進むというわけではなかったのです。
 またこの事実は、勉強することによって、成人でも知能指数を高めることができるということを示しています。このことは非常に重要な意味をもっています。なぜでしょうか?
 勉強したり、訓練したりすることは脳細胞をふやします。もちろん、突起やシナプスもふえるので、神経線維の回路が複雑になり、情報連絡が密になります。
 じつは、勉強することの意義というか収穫はここにあります。勉強した結果、直接的な効果や利益がなくても、勉強したり努力したりして、脳を鍛えたこと自体が、じつは大きな利益なのです。たとえば、新しい外国語の勉強をしたとします。一所懸命やっているつもりでも、年をとっているせいか、なかなか外国語なんか覚えられないし、覚えたものもすぐに忘れてしまう。言葉は使えなければ意味がないと思う人にとっては、年をとってからの語学の勉強は、意味がなかった、つまり徒労だったとなるわけです。
 しかしそう悲観する必要はないのです。たとえ外国語の単語をスッカリ忘れても、勉強したことで、脳細胞は刺激を受けて増殖し、神経回路は連携を深めているのです。
 このことは、数十個の単語を覚えることよりも、何百倍も重要です。頭がよくなり、ボケないという恩恵に比べたら、単語の百や二百、とるに足りません。
 またたとえば、学生時代の勉強や読書も同じです。「若い時に読んだ本の内容なんて、もうすっかり忘れてしまったよ。いくら本を読んだっていっても、さして人生では意味がないよ」という人もいますが、これほどの誤解はありません。本の内容など、忘れてもいいのです。それが情感を刺激し、海馬や扁桃を活性化してきたからです。そのことは、その後の人生にとって、計り知れないほどの効果を脳に及ぼしているのです。