真理への道はただひとつ
「人間は神の子だ」ということである

千葉の灯(せんようのともしび)2019年 8月

新たな人々に、もっと生長の家の教えを伝えましょう

教化部長 稙田 茂樹
稙田茂樹教化部長 合掌 ありがとうございます。
 地球の温暖化による異常気象の影響でしょうか、雨模様の日が続くこの頃です。
 信徒の皆さま、ご家族の皆様には如何お過ごしでしょうか。日々に健やかに過ごされますよう願って止まないところです。
 さて私ごとになりますが、この暑い時期になりますと、毎年「彼岸花」という短編の童話を思い出します。この童話は平成10年7月に和歌山で起こった「毒カレー事件」で亡くなった小学4年生の男の子とその子を想うお母さんの心情をテーマにした内容となっており、和歌山市の林有加さんという方の作品です。

 また、この童話は、この年の「ラジオ短波特別童話賞」を受賞しています。以下に紹介させていただきます。

「彼岸花」

 ある年の7月、10歳の少年の命の灯が消え、ひとつの魂が生まれました。短い命から生まれた小さな魂でした。その小さな魂は、母が恋しくて、神に、もう一度だけ母に会わせてほしいと頼みました。神はその純真無垢な魂を不憫に思い、願いを聞き入れてくれました。
 そして、神はこう言いました。
 「1日だけおまえを人間界にもどしてあげよう。ただし、人間の姿ではもどれない。母が、おまえの姿を見つけ、おまえが母の声を聞くことができたなら、いつか再び、親子として、人間界に生まれかわることを許そう。しかし、母の声を聞くことができなかった時には、魂は消えてなくなってしまうが、それでもよいか?」
 小さな魂は9月半ば、母との思い出深い彼岸花の姿をかりて、母の住む家の近くの土手に、ひっそりと咲きました。なつかしい家の窓には、悲しげに外を眺める母の姿がありました。
 やがて母は彼岸花のそばにやってきました。そして、花に顔を近づけて、そっと語りかけました。
 「もう彼岸花の季節になったのね。ひろくんは、いつも、お母さんのために、この花を摘んできてくれたよね。ありがとう」
 母の目から涙がこぼれ落ち、声にならない声をふりしぼって言いました。
 「ひろくん、おかえりなさい」
 そう言って、花をやさしく手で包み込みました。なつかしい母の声とぬくもりでした。その母のやさしい声を聞くことができた瞬間でした。
 「お母さん、ただいま! いつかまた、きっと、お母さんの子どもに生まれてくるからね。ありがとう。おかあさん!」
 彼岸花は、母の言葉と、いく粒もの涙を花びらで受けとめ、ひとすじの光となって、空に昇っていきました。母は空を見上げ、いつまでもいつまでも、祈りつづけていました。

 

 私は「警察小説」を読むことを趣味にしていますが、この童話との出会いもそのような小説の中のことでした。子供達の大好きなカレー、そのカレーを食べて死んでしまった男の子。この凶悪な「毒カレー事件」の捜査を指揮する当時の和歌山県警捜査一課長が捜査に当たる刑事・警察官一同を前に、この短編童話を読み聞かせたところ、その多くが涙ぐんで聞いていたとのことでした。その後、捜査陣の目の色が変わり、早期の事件解決にもつながったようです。

 さて、このような事件は断じて「他人事」ではありません。千葉県下においても耳をふさぎたくなるような悲しい事件や事故は相次いで報道されています。特に小さな子供達は無限の可能性をうちに秘めていますから、将来、一人ひとりの子供達がどれほど世の中に貢献し、多くの人々に認められ喜ばれる人として成長していくのかは計り知れないところです。

 このような悲しい事件が繰り返されないように、子供達の命が護られ、そして父親や母親達が安心して子育てが出来る世の中になるように、私たちはいよいよ心をひとつにして、生長の家のみ教えを伝え広めていかなければなりません。そのためには、地元で開催される誌友会や母親教室のような、身近でみ教えを学ぶことのできる場に、もっともっと多くの新しい人々をお誘いしていかなければなりません。そして講演会や練成会などで、その学びを深めてもらうことが大切です。

 未来世代の一層の幸福のために、共に神の愛と善を実践する人々を多数生み出してまいりましょう。よろしくお願い申しあげます。